帰宅してソファに座った瞬間、動けなくなる。
お風呂に入らなきゃと思いながら、気づけば深夜になっている。
ある調査では、20〜50代女性の22.1%が「週に1回以上、お風呂に入らない日がある」と答えています。
しかも、入らない理由の1位は「心身の疲れ」でした。
つまり、風呂キャンセル界隈と呼ばれる状態の多くは、だらしなさではなく疲れの表れです。
一方で、頭皮に触れる仕事をしている私たちは、洗えない夜が続いた頭皮に共通の変化が出ることを知っています。
この記事では、その3つの変化と、どうしても洗えない夜にできる最低限の頭皮ケアをお伝えします。
風呂キャンセル界隈とは(基礎)

2024年春、SNSから広がった言葉
風呂キャンセル界隈(ふろきゃんせるかいわい)とは、お風呂やシャワーを面倒に感じて入らない人たちを指すネットスラングです。
2024年4月末、X(旧Twitter)の投稿をきっかけに広まりました。
もともとは自嘲まじりの軽い言葉でしたが、「実は自分もそうだ」という声が集まり、疲れた現代人の共感の受け皿になっていきました。
理由の1位は「心身の疲れ」
冒頭の調査では、お風呂に入らない理由として「心身の疲れ」が32.0%で最多でした。
次いで「髪を洗う・乾かすなどの工程が面倒」が21.2%と続きます。
つまり、入りたくないのではなく、入るための気力や体力が残っていない状態が背景にあります。
さらに、精神科医からは、うつ病の初期症状として現れる場合があるという指摘もあります。
責める言葉ではなく、休むサインとして
そのため、この記事では「洗わないなんてだらしない」とは言いません。
ただし、頭皮に起きることを知っておくと、洗えない夜の過ごし方が変わります。
例えば、翌朝だけは洗う、サロンや美容室の前夜だけは洗う、といった小さな工夫ができるからです。
洗えない夜が続くと頭皮で起きていること

原因1:皮脂と汗が、時間とともに変化する
出たばかりの皮脂(ひし)や汗は、ほとんど臭いません。
しかし、頭皮に残ったままだと、常在菌(じょうざいきん)が皮脂や汗の成分を分解し、酸っぱいタイプの臭いが生まれます。
加えて、皮脂そのものが酸化すると、脂っぽいタイプの臭いに変わります。
洗わない日が続くと、この2つが混ざり合った状態になります。
原因2:湿ると・温まると、臭いが立ちやすくなる
乾いているときは、自分でもあまり気にならないことがあります。
一方で、頭皮が湿ったり温まったりすると、臭いの成分が空気中に広がりやすくなります。
例えば、美容室のシャンプー台で髪が濡れた瞬間や、施術で頭皮が温まってきた時間帯です。
そのため、頭皮に触れる側は、本人よりも先に変化に気づくことがあります。
原因3:疲れ・ストレス・睡眠不足で皮脂のバランスが乱れる
さらに見逃せないのが、洗えない原因である疲れそのものです。
睡眠不足やストレスは、皮脂の分泌や頭皮の状態に影響しやすいと考えられています。
つまり、疲れているときほど頭皮は乱れやすく、その時期にかぎって洗えない、という二重の状態になりがちです。
原因4:洗う工程そのものが負担になっている
髪を濡らし、洗い、すすぎ、乾かす。
この一連の工程は、髪が長い方ほど時間と体力を使います。
臨床心理士からは、疲れて帰宅したあとにスマートフォンを見続け、気づけば時間が過ぎてしまう流れも指摘されています。
したがって、「面倒」の正体は、工程の多さと気力の枯渇が重なったものだと言えます。
風呂キャンセル界隈の頭皮に起きる3つの変化

ここからは、洗えない夜が続いたときに起きやすい変化を、3つに分けて見ていきます。
どれも「必ずこうなる」ものではありませんが、頭皮に触れていると共通して出会う変化です。
1)臭い:自分では気づきにくく、湿った瞬間に立つ
最初に出るのが臭いの変化です。
やっかいなのは、本人が慣れてしまって気づきにくい点にあります。
しかし、頭皮が湿ったり温まったりした瞬間に、臭いは立ちやすくなります。
美容室やサロンで「なんとなく気まずい」と感じた経験がある方は、ここが原因かもしれません。
そこで、洗えない夜が続いたときは、翌朝だけでも洗ってから出かけることをおすすめします。
2)フケ・かゆみ:皮脂をエサにする常在菌が増える
次に出やすいのが、フケやかゆみです。
頭皮にはマラセチアという常在菌がいて、皮脂をエサにして増えます。
増えすぎると、フケ・かゆみ・赤みといった脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)の症状につながることがあります。
また、皮膚科医は、洗わない状態が続くと皮脂が蓄積して酸化し、赤みやかゆみ、ざらつきが出やすいと説明しています。
3)眠りと翌日の疲れ:入浴を抜くと、切り替えの機会も減る
3つ目は、頭皮そのものではなく、翌日に持ち越す疲れの変化です。
入浴には、体を温めて血のめぐりを助け、眠りの質を支える働きがあると言われています。
つまり、お風呂を抜く夜は、体を「休むモード」へ切り替える機会も一緒に抜けてしまいます。
その結果、翌朝も頭が重いままで、また洗えない夜を迎えるという循環に入りやすくなります。
ドライヘッドスパで期待できる変化

正直にお伝えすると、洗髪の代わりにはなりません
ドライヘッドスパは髪を濡らさずに行う施術なので、シャンプーの代わりにはなりません。
洗えない日が続いた頭皮の汚れは、やはり洗うことでしか落とせません。
ただし、風呂キャンセルの根っこにある「疲れ」に対しては、できることがあります。
頭皮に触れる側から見えること
施術中、私たちは頭皮の温度や硬さ、乾き具合を指先で感じ取っています。
そのため、お客様ご自身が気づいていない変化に先に気づくことも少なくありません。
とはいえ、その場で「臭います」とお伝えすることはありません。
だからこそ、この記事のような形で、頭皮で起きていることをお伝えしたいと考えています。
「休むモード」への切り替えを体験する
nidoneでは、施術中に眠ってしまう方がとても多くいらっしゃいます。
頭全体をゆっくりほぐしていくうちに、肩や顎の力が自然と抜けていく方が少なくありません。
もちろん、それで疲れがすべて消えるわけではありません。
それでも、洗えないほど疲れている時期に「何もしなくていい時間」を持つことは、次の一歩につながります。
施術の流れ

最近の疲れ具合や眠りの状態、気になる頭皮の悩みをうかがいます。
頭に入る前に、土台となる首まわりから力を抜いていきます。
後頭部・側頭部・頭頂部を、圧を変えながらゆっくりほぐします。
呼吸が落ち着くまで待ち、ゆっくりお起こしします。
※施術範囲はコースにより異なります。
洗えない夜の頭皮ケア(自宅でできること)

ここでは「毎日ちゃんと洗いましょう」とは言いません。
そこで、どうしても洗えない夜のための最低限のケアを、4つに絞ってお伝えします。
夜:シャンプーが無理なら、お湯だけで流す
全部の工程が無理でも、ぬるま湯で頭皮を流すだけなら数分で済みます。
汗や皮脂の一部は、お湯だけでも流れます。
ただし、濡れたまま寝ると菌が増えやすいので、頭皮だけはタオルとドライヤーで乾かしてください。
夜:ドライシャンプーは「つなぎ」として使う
ドライシャンプーは、ベタつきを一時的に抑えるには便利です。
一方で、頭皮に残った皮脂や汗を落とすものではありません。
つまり、その夜のつなぎとして使い、翌朝にきちんと洗い流すのが基本です。
朝:翌朝だけは洗ってから出かける
夜に洗えなかった日は、朝にシャワーだけでも浴びると、その日1日が変わります。
特に、美容室やヘッドスパなど、人と近い距離で過ごす予定がある日は、前夜か当日の朝に洗っておくと安心です。
施術中に気まずさを感じることもなく、リラックスに集中できます。
入浴のハードルそのものを下げる
加えて、帰宅後すぐにシャワーだけ浴びる、速乾タオルで乾かす時間を短くする、といった工夫も役立ちます。
さらに、洗いすぎも頭皮の乾燥を招くため、毎日または1日おきを目安に、ご自身の頭皮に合う頻度を探してみてください。
洗い方の基本は、以前の記事「頭皮のにおい、洗えば解決ではない?夏前に整える5つの頭皮ケア」でも詳しくご紹介しています。
よくあるご質問

Q1.何日くらい洗わないと、頭皮に影響が出ますか?
皮脂の量や季節、年齢によって個人差が大きく、一律には言えません。
ただし、汗をかきやすい時期は1日でも臭いの変化を感じる方がいます。
そのため、日数より「湿ったときに臭うか」「かゆみが出ていないか」を目安にしてみてください。
Q2.ドライシャンプーだけで済ませても大丈夫ですか?
その夜のつなぎとしては有効です。
しかし、皮脂や汗を落とすものではないため、翌朝にはお湯やシャンプーで洗い流すことをおすすめします。
Q3.自分の頭皮が臭っているか、確かめる方法はありますか?
朝起きたときの枕の臭いや、清潔な指の腹で頭皮をこすってから嗅ぐ方法があります。
また、乾いた状態では分かりにくいため、湿ったときや温まったときの変化に注意してみてください。
Q4.洗わないと薄毛になる、というのは本当ですか?
洗わないこと自体が薄毛の直接の原因になる、とは言い切れません。
一方で、かゆみで掻いてしまったり、炎症が続いたりする状態は、髪にとって良い環境とは言えません。
そこで、フケやかゆみが続く場合は、まず皮膚科で頭皮の状態を確認してもらうことをおすすめします。
Q5.ヘッドスパの前日に洗えなかった場合、予約を変えるべきですか?
変える必要はありません。
ただし、当日の朝にシャワーだけでも浴びていただくと、気まずさを感じることなく施術に集中していただけます。
どうしても難しい日は、そのままお越しください。
実際のお客様の声

最後に、実際にnidoneをご利用いただいたお客様の声をご紹介します。
「仕事が忙しくて、お風呂に入らずに寝てしまう日が増えていました。施術のあとは頭が軽くなって、その夜は久しぶりにちゃんとお風呂に入れました。」(30代・女性)
「頭皮のかゆみが気になっていたのですが、触ってもらって初めて自分の頭皮が乾いていることに気づきました。」(20代・女性)
「施術中に眠ってしまって、帰りの電車でも眠くなりました。疲れがたまっていたんだと思います。」(40代・女性)
まとめ:洗えない夜は、疲れのサイン
このように、洗えない夜が続いた頭皮には、臭い・フケやかゆみ・翌日の疲れという3つの変化が起きやすくなります。
しかし、その根っこにあるのは、だらしなさではなく心身の疲れです。
そのため、どうしても洗えない夜は、お湯で流して翌朝に洗う。
そして、洗えないほど疲れている日が続くなら、nidoneで頭を休ませる時間をつくってみてください。
参考リンク:
・「風呂キャンセル界隈」とは? 疲労と負担で入浴を避ける女性たち/Forbes JAPAN
・風呂キャンセル界隈とは/@DIME
・頭皮・頭髪のニオイ/花王
・頭皮が臭い/メディカルノート
・皮膚科医が語る「お風呂に入らない」ことの肌への影響/ORICON NEWS
・風呂キャンセル界隈の背景と入浴のハードルを下げる工夫/東京ガス ウチコト
この記事を書いた人
森田(Dry shampoo Spa nidone チーフセラピスト)
森の中のような空間で、心と身体の疲れにそっと寄り添う施術を行っています。
筋膜リリースや頭蓋骨アプローチを取り入れたドライヘッドスパを専門とし、
眼精疲労・不眠・自律神経の乱れなど、慢性的な不調にお悩みの方に向けて、日々施術を担当。
これまでにのべ8,000人以上のお客様を担当し、「記憶がないほど眠れた」「視界がクリアになった」といったお声を多数いただいています。
セラピスト向けの講習会や技術指導にも携わり、確かな経験と理論に基づいた施術を大切にしています。
お客様一人ひとりに合わせたケアを、感覚と知識の両面からご提供しています。
